相談事項 その4
相続人には「遺留分」があるって聞いたけど、どういう意味?
回答: 「遺留分」とは、民法によって定められた、相続人が最低限譲り受けられる財産額の割合をいいます。
遺産分けは、遺言書によりますが、民法が一定の割合について、相続人が最低限受け取ることのできる部分を保証しています。亡くなられた方の意思を反映させることも重要ですが、他方で相続人についても、一定の保護を与えようとしているのです。
「遺留分が認められる人」
「遺留分」は全ての相続人に認められているわけではありません。一定の相続人にのみ認められています。「遺留分」が認められる相続人は、法定相続人のうち、配偶者と子供、父母です。上記以外には、既に子供や父母が亡くなっている場合について、子供の子や祖父母について「遺留分」が認められるにすぎません。
「遺言書との関係」
「遺言書」で定められた財産の配分が、相続人の「遺留分」を害するような場合、侵害されている相続人は、他の相続人等に対し、侵害額を請求することができます。この請求の方式に特に決まりはないですが、一般的には弁護士に相談し、必要に応じて調停、裁判という段階を踏んでいくことになります。
遺言をのこす方も、遺言書さえ作成しておけば大丈夫と、安心してはいけません。遺留分について、十分配慮しなければ、遺言書があったとしても、争いはなくなりません。
「遺留分には請求期限がある」
注意しなければならないのが、遺留分にかかる侵害額の請求には「期限」があるということです。その期限は、権利者が相続の開始を知り、さらに遺言の内容が、自らの遺留分を侵害していると知った時から一年内です。
さらに、相続開始の時から10年を経過すると、時効により請求権が消滅してしまいますから、注意が必要です。