相談事項 その5
「配偶者の税額の軽減」があるから、大丈夫って聞いたけど?
回答: 「配偶者の税額の軽減」は、とりあえずの安心が得られるだけ。もっと将来のことも考えましょう。
配偶者の相続に関して、夫婦が将来の生活資金を勘案して暮らしてきたことや、協力し合いながら財産を築き上げてきたこと等が勘案され、特別な配慮がなされています。それが、「配偶者の税額の軽減」と呼ばれる手厚い控除制度です。
「軽減される額」
亡くなられた方の配偶者が、相続により実際に取得した正味の財産額が、次の金額のどちらか多い金額までは、配偶者に相続税はかかりません。
(1) 1億6千万円(2) 配偶者の法定相続分相当額
「統計データとの比較」
国税庁の統計調査(平成23年分)によると、「合計課税価格階級区分」の欄の内、2億円までの階級で、相続全体の72.3%を占める結果となっていることが分かります。
これは実際の相続において、財産の課税価格が、2億円以内のケースが、7割を占めているということを表しています。そのため、配偶者の税額の軽減が1億6千万円あれば、相続税において配偶者は十分な恩恵が受けられるであろうと考えることができます。
「相続は終わらない」
確かに、配偶者は相続において、手厚い制度によって、守られていると言えるでしょう。けれども、相続は夫婦間のみで終わるものではありません。通常、親から子へと続いていくものです。
配偶者の税額の軽減によって、一時は、相続税が軽減できたとしても、再び相続となれば、配偶者が受け継いだ財産が相続財産となって、子供が相続税を負担することになります。
そのため、この連続性をいかに考慮し、相続を考えるか、ということが最も重要な視点になってくるのです。現在だけではなく、近くて遠い将来も、見据えておく必要があるのです